母のウソ [思い出がいっぱい]
僕は、小さいとき、刑事ドラマを見せてもらえなかった。
暴力的だとかいう理由で、母が禁止していたのだ。
幼い僕に刑事ドラマを見させない為の手段なのかわからないが、
母は、こんな事を言っていた。
「ドラマで撃たれたりして、死んでるでしょ?アレは実際に撃って、本当に死んでるのよ。」と。
母親の言う事は全て真実だと思い込んでいた僕は、そのことを何の疑いもなく信じていた。
丁度その頃、寺尾聰の「ルビーの指輪」が大ヒット。
僕は歌詞の意味とかわからなかったが、その歌が痛く気に入り、寺尾聰の事が大好きだった。
そして、数年の時が経ち、何気にテレビを見ていると、刑事ドラマに出演中の寺尾聰を見つけた。
刑事ドラマは禁止以来、ほとんど見ることがなかったのだが、
ルビーの指輪が歌以外でテレビに出ていたので、クギ付けになって見ていた。
すると、なんと、バキューーーン!!と撃たれる寺尾聰!
スローモーションで倒れる寺尾聰!!
なんと!!僕の大好きだったルビーの指輪が死んでしまった!!
ルビーの指輪をもう聴けないと思うと、ショックだった。
僕は幼い心に死という言葉を深く刻んだのだった・・・。
それからというもの、しばらくは、寺尾聰がテレビに出ていても、
この人、死んだんやな・・・。これ、VTRやもんな・・・。
と思っていた。
そして、さらに時は経ち、現在、さすがに母のウソには気づいているが、
「優しい時間」にて、シブイ演技をする寺尾聰を見ながら、
あーー、この人、あの時死んだのになーー。
と思うのである。
←手抜き。動きません。
リンプーの苦い思い出。 [思い出がいっぱい]
リンプーって知ってますか?
資生堂のリンプー。
多分、日本で最初のリンスインシャンプーだったんじゃないかな?
そのリンプーが発売された頃、僕は小学校の低学年だった。
リンプーのCMを「へーー。すごいなー。」と思いながら見ていると、あることが閃いた。
当時僕は丸刈りだったため、リンスなんて使うはずも無く、
むしろシャンプーすら使わない、石鹸派だったのだが、
4つ上の姉は中学生になったばかりで、丁度思春期。ロングヘアをなびかせ、
モチロン、シャンプーとリンスは毎日必ずしていた。
そのため、風呂もえらく時間がかかっていた。
そんな中でリンプーの登場。僕は、姉の為にリンプーをと思い、
姉が使用しているシャンプーとリンスを混ぜてあげた。
モチロン悪気など無い。混ぜる事で、リンプーが出来ると信じていた僕は、
姉にはその事を内緒にしつつ、姉の入浴を心待ちにしていた。
きっと、風呂から上がってくれば、めちゃくちゃ誉められるに違いない。
と思いながら・・・。
しかし・・・・。
姉が風呂に入り、しばらくしてから、
ドタドタドタ!
と姉の足音。
まずは兄に向かって、リンプーと化したシャンプーのボトルを突き出し、
「コレやったのあんた!?」
兄は、身に覚えが無いので、キョトン。
僕は隣で何故か怒ってる姉を目にし、ガクガクブルブル・・・。
そして・・・。姉がギロリとこっちを向き、
「アンタ!?」
僕は黙ってうなずく。
「何でこんな事したの!?」
僕はか細い声で
「り、りんぷぅ~~・・・。」
ボコッ!!
僕は思いっきり頭を殴られ、泣いた。
よかれと思って・・・という思いと、痛みに、泣きつづけたのだった・・・。
兄さんへの手紙 [思い出がいっぱい]
兄さん、元気にやってますか?
大都会東京、慣れましたか?
人ごみが苦手な兄さん、東京でやっていけるのか、心配しています。
兄さん、正月は実家で会えなくてごめん。ちょっとたてこんでて。
兄さん、借金は返したかい?東京は冷たい町だと聞くから、あんまり他人を信用しちゃダメだよ。
兄さん、僕は時々兄さんの事を想うと、切なくなるんだ。
いろんな思い出が兄さんの笑顔を思い出させるよ。
ちっちゃい頃はよくケンカをしたね。最後に僕が泣いて、母さんに兄さんが怒られるってのが決まりのパターンだったよね。
腹いせに、僕がコツコツ貯めた文房具屋のサービスカードをびりびりに破ってたことがあったね。
一緒にベンジンで遊んでたら、母さんにバレて、頭からドボドボ、ベンジンかけられたね。
ドリフでテンション上がって、うんこちんちんを連発してたら、母さんに真っ暗な便所に閉じ込められたね。あの時は協力して、ドアを二人で破壊したんだ。覚えてるかい?
そうそう。僕が学校から帰ってきたら、エロ本が見つかって母さんに正座で怒られてる兄さんを見たことがあったよ。あの時はいたたまれなかった。
でも、懲りずにエロ本集めてたね。
ある時兄さん僕にこっそり教えてくれたね。
あの怒られた日から、母さんがエロ本を毎日チェックしてるって。位置が微妙に変わってるって。
ごめん、毎日チェックしてたのは、僕なんだ。
兄さん。いろんな思い出を僕は大切にしているよ。
今年は、実家に必ず帰るよ。そしたらまた、一緒に遊ぼう。
PS.ネタにしてごめんよ